多重債務の相談における留意点

受任が原則

多重債務の整理のために相談にくる場合、相談者は、自分でいろいろ努力をしたがどうにもならず来所するというのが一般である。
したがって、相談にあたっては、受任することが原則である。

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必要な資料

相談にあたっては、どのような債務があるのかを正確に把握し、概ねどのような資産があるかを確認することが必要である。
また、多重債務に陥った原因についても概略把握しておく必要がある。
① 債権者一覧表
債権者の把握にあたっては、債権者一覧表に記載してもらう。
債権者名、支店名、郵便番号、住所、電話番号、債務額、当初借入日、保証人の有無などを記載してもらう必要があるので、相談前(事前)に作成しておくよう伝えておく。
また、カードも持参するように言っておく。
相談者が申告漏れしやすいものとして、家族・親戚からの借入れ、保証債務、物品購入によるクレジット債務(「借金」というイメージからはずれる)などがあるので、相談時に確認しておく必要がある。
また、家族(夫・妻・親など)と一緒に相談にきた場合、家族の手前、債務の一部について自分で支払えると過信して、すべての債務を言わない場合もあるので、一時、家族を退席させ確認することも必要である。
さらに完済した借入れについても、過払金返還請求の対象になるので、確認することが必要である。
当初借入日は引直し計算の前提となるので、必ず記載するようにすべきである。
相談者の記憶ははっきりしないことが多いが、5年くらい前、10年くらい前といった程度でも聞き取っておくべきである。
この相談者の記憶と開示された初回取引日に大きな差があった場合、相談者と再度確認し、正確な開始時期を把握していくべきである。
なお、「初めて借りたときは?」といった質問をした場合でも、相談者によっては借換え時期を答える場合があるので、「何回か借りたり返したりしている場合も含め、初めてその業者とつきあい始めた時はいつか?」といったように、より詳しく聞いていくことが必要である。
② 資産状況
不動産・自動車・退職金・生命保険加入の有無などを確認し、これらがある場合には、資産価値につきおおよその額を聞いておく必要がある。
特に退職金や生命保険については資産という意識を有していない相談者が多いので、その有無をきちんと確認しておく必要がある。
③ 債務負担の経緯
免責不許可事由の有無や資産状況把握などのため、どうして借金が多くなったのかを聞いておく必要がある。
ただし、相談時間が限られていることからして、方針の概略が定められる程度に聞けば足りる(たとえば、ほとんどギャンブルのため借りたといった場合、近時は免責不許可になることがないが、管財事件にはなる)。

整理方針の概要の説明

相談において、負債状況、資産状況、債務負担経緯を把握したら、債務整理方針の概要を説明することになる。
必ずしも初回相談で方針を確定する必要はなく、委任するかどうかが重要である。
その際、弁護士費用についてもきちんと説明しておく必要がある。
また、扶助要件に該当する場合には、そのことも説明する。

法律扶助制度

法律扶助の資力要件(東京都)は、申込者・配偶者の手取り月収額(賞与を含む)の合計額が、単身者で20万円以下、2人家族で27万6000円以下、3人家族で29万9000円以下、4人家族で32万8000円以下となっている。
これをみると、多重債務相談者のかなりの部分が扶助を受けられることがわかる。
相談者の収入が扶助要件をみたす場合には、そのことを伝えておくべきである(破産・個人再生の場合の予納金は相談者負担である)。
なお、扶助の場合の弁護士費用は、一般の場合とくらべかなり低額ではある。
しかし、低額とはいえ、一括で受領でき、取りはぐれがないというメリットもある。

受任における留意点

相談から受任に至った場合、委任契約書を作成する。相談段階で弁護士費用の説明をしているが、委任契約書を作成することで再度確認することになる。
また、著者は、有償で委任しているということを依頼者に自覚してもらうために、可能な範囲で弁護士費用の内金(5000円~数万円程度)を入れてもらうことにしている。
これによって、依頼者にも、「お金を払った以上、この弁護士に今後とも頼んでいくんだ。約束を破って辞任されたらもったいないし、困る」という意識が生じることになる。

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